財布から一枚、千円札を取り出す。
ぴらぴらん、と揺らせば簡単に揺れる紙。
千円と書かれたその紙には、果たして千円の価値はあるのだろうか?
「千円札の原価は15円くらい」
スマホで調べてみると簡単に原価が解った。
「だけど千円の価値がある」
千円札を一枚持ったまま、ごろんと床へ寝っ転がった。
仰向けになって、紙を天井へ向けて光りへ透かしてみる。
きっと物凄い技術を使ってる透かし。
「原価ってなんだろ?」
透かしを印刷する機械。それをメンテナンスする会社。そもそもその機械を製作した会社。
私の手元に届くまでの運送代。銀行を通して流通するまでの人件費。
「・・・もしかして1000円札って、1000円よりもずっと価値があるものなのかも?」
1000円札。
誕生するまでの歴史。過去に遡って想像してみる。マンモスとかが居た時代、まだ『お金』の概念が無かった時代。
「1000円札は、人類の知恵の価値かな」
ぴらぴらん。
この薄い紙一枚に、人類の知恵が詰まってる。
こんなに薄っぺらなのに、そう考えてみるとすごいもんだね。
1月7日は千円札の日!千円札の日をテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–