365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 6.9

「コレってどうやって使うの?」


「だからー窓のレールのとこ」
「それは解るけど~」
「レールの中間のとこで止めるの」
「えー?そんなんでロック出来るの?」
「出来るの!やってみー」
「え~?」

新しい施錠グッズを買ってきた。

別に必要ないと思っていたけど、つい先日見てしまったのだ。
マンション、ちょうどウチの真下の家のドアで、誰かがしゃがんで何かをしていたところを。
青い作業着を来ていたから業者なのかと思ったけど、挨拶したら返事もそこそこに、ソソクサと出て行ったのだ。

「・・・やっぱアレって空き巣かなぁ」
「そうだってば~!!いつウチに来るかも解らないんだから!!ってゆうか最近、良くわかんない営業?も多いし!!なんか物騒なんだって~!」
「そっかぁ~。まぁ、べつにウチに入ったって盗むモノなんて何も無いけどなぁ」
「あるってば!ヤツらはパソコンだってスーツだって持ってっちゃうらしいんだから!」
「ほぉ~」

青い作業着を着た、おじさん、まで行かないくらい、お兄さんと言うにはまだ若いくらいの年齢。
複数では居なかったから多分ひとり。

「わざわざ空き巣するのに、ヘルメット被って脚立なんて持ってるかねぇ?」
「いかにも空き巣のカッコしてたら通報されるじゃん!ばっかねぇ~!!!」

空き巣も大変だなぁ、なんて思ってしまった。

End.

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テーマの著者 Anders Norén